ゴミ屋敷化の背景には様々な要因がありますが、「お金がない」という経済的な困窮が深く関わっているケースは少なくありません。生活に余裕がないと、様々な面で片付けを妨げる状況が生まれます。まず、物理的に片付けに必要な物を購入する費用がないという問題があります。ゴミ袋、洗剤、掃除道具、収納用品など、片付けには意外と費用がかかります。これらの購入費用を捻出できないため、片付けたいと思っても、なかなか行動に移せないという状況に陥ります。また、大型の不用品や大量のゴミを処分する際に発生する費用も大きな壁となります。自治体によっては、粗大ゴミの回収に手数料がかかりますし、一度に大量のゴミを出す場合には「一時多量ゴミ」として別途費用が発生することがあります。これらの費用が払えないために、ゴミを溜め込んでしまうというケースが見られます。さらに、専門の片付け業者に依頼する費用がないというのも、ゴミ屋敷問題が深刻化する大きな理由の一つです。プロに頼めば短期間で効率的に片付けてもらえますが、その費用は数十万円に及ぶこともあり、経済的に困窮している人にとっては、現実的な選択肢とはなりにくいのが現状です。経済的な困窮は、精神的な状態にも大きな影響を与えます。お金がないことへの不安やストレスは、精神的な疲労や意欲の低下を招き、うつ病などの精神疾患を引き起こす可能性もあります。こうした精神状態では、身の回りのことに関心を払ったり、部屋を片付けたりといった日常的な自己管理を行うエネルギーが枯渇してしまいます。セルフネグレクトと呼ばれる状態に陥り、部屋がゴミ屋敷化していくことがあります。また、お金がないことから社会的に孤立しやすくなり、人とのつながりが希薄になることも、片付けへの動機付けを弱め、状況を悪化させる要因となります。経済的な困窮は、単に物理的に片付けに必要な費用がないというだけでなく、精神的な余裕や社会的なつながりを奪い、ゴミ屋敷化を加速させる複雑な要因となります。お金がない状況でゴミ屋敷化してしまった場合、一人で抱え込まず、公的な支援制度などを活用することも視野に入れる必要があります。経済的な問題とゴミ屋敷の問題は、密接に関連しているのです。