ゴミ屋敷清掃の現場において、最も手強く、かつ慎重な取り扱いが求められるのが大量の衣服です。多くの現場では、服が幾重にも重なって層を形成しており、その下にはカビや害虫、ときには大切な現金や貴金属が隠れていることも珍しくありません。私たちがプロの視点でアドバイスする衣類整理のコツは、まず「迷う服」と「捨てる服」の基準を、作業前に明確に数値化しておくことです。例えば、ボタンが取れている、シミがある、生地が伸びているといった物理的な劣化があるものは迷わず処分対象とします。また、ゴミ屋敷の状態では衣類が湿気を吸って重くなり、衛生的にも再利用が難しい場合が多いことを居住者に納得してもらうことも重要です。作業効率を上げるためには、トップス、ボトムス、下着といったカテゴリーごとに仕分けるのではなく、まず「明らかなゴミ」を排除した上で、残った山を「一軍」「二軍」「三軍」に分けていきます。一軍はクローゼットに入る量、二軍は思い出の品として箱一つ分、三軍はすべて処分という具合に、物理的な収納スペースをゴールに設定するのです。服は布の集合体であり、放置すればハウスダストやアレルギーの原因にもなります。清潔な住環境を取り戻すことは、居住者の健康を守ることに直結するため、私たちは単なる片付けではなく、命を守る作業としての自覚を持って取り組んでいます。服の山に立ち向かうときは、感傷を一旦横に置き、今の自分の安全と健康を最優先に考える姿勢が、迅速なゴミ屋敷解消への近道となります。